板尾くんと荒井くんが一高記念賞を受賞!!

一高記念賞は、「大学院総合文化研究科の大学院生と教養学部の学生を対象とする賞で、学業、課外活動、社会活動等において特に顕著な業績を挙げ、他の学生の範となった者を顕彰するもの」であり、博士課程・修士課程・学部でそれぞれ選出されます。 2023年度の一高記念賞を、板尾健司くんは博士課程で、研究テーマ「人間社会の多様な構造の生成原理:普遍人類学の構築」に対して、荒井大和くんは学部で、テーマ「行列乗算に対するフリップグラフ上の適応的探索アルゴリズムの提案と高速な乗算法の発見」に対して受賞しました。 おめでとう!!
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春の日本物理学会2024

とりあえず3月18日から日本物理学会です。今回はオンライン開催です。基本路線は年1はオンラインで年1は対面開催のようですが、これは学会全体でのアンケート結果を受けて理事会判断であったかと認識しています。自分が領域11の代表だった頃にMLを通じて一度アンケートを取ったことがありますが、大きな分かれはなかったです。オンライン開催には賛成派と反対派があり、双方の意見、というかその背景は理解できます。やはり、対面の会議は重要で、特に若い人にとってはかけがえのないものであることに意見の相違はないように思います。 さて、今回の研究室の発表は以下のとおりです。 講演番号登録番号タイトル著者所属領域18pL2-92067対称性を活かした温度拡張貪欲アルゴリズムによる行列積問題の新規解法荒井大和A, 市川祐馬B, C, 福島孝治B, D東大教養統合自然A, 東大院総合B, 富士通人工知能研C, 東大先進D領域1119aL1-61102ブラウン回路による加算器の計算完了時間の数値解析岡嶋航太A, 福島孝治A, B東大院総文A, 東大先進B領域1120aL1-51338レプリカ法による変分オー...
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中西くんのクロマチンモデルの論文がPhysical Review Eに出版

Emergence of Compact Disordered Phase in a Polmer Potts Model Emergence of compact disordered phase in a polymer Potts modelRyo Nakanishi and Koji HukushimaPhys. Rev. E 109, 014405 – Published 29 January 2024https://doi-org.utokyo.idm.oclc.org/10.1103/PhysRevE.109.014405 最近になってクロマチンの凝縮状態を表す統計力学モデルとしてポリマーポッツモデルが提案され研究されています。この論文は、中西くんが行ったポリマーポッツモデルの相転移に関する研究です。私自身は高分子については基本的な教科書、土井先生の昔の方やde Gennesを読んだくらいで深くは知らないし、クロマチンもヒストンもどっち向いてるか全く知らない状態で、おおよそ一年くらいかけて中西くんにレクチャーしてもらってきました。最近の論文もたくさん解説...
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行列積問題の記録更新論文

Faster Matrix Multiplication: Unveiling Insights from Strassen to FBHHRBNRSSSHK, Continuing with KM, and Advancing to AIH 普段はプレプリントの段階ではあまり研究公開の話はしないのですが、今回だけはちょっと特別とします。たぶんプレスリリースとかもしないだろうし、でも滅多にない世界記録更新した研究なので、少し経緯をここで解説します。 現在、卒業研究で受け入れている荒井くんの研究成果をプレプリントとして公開しました。Adaptive Flip Graph Algorithm for Matrix MultiplicationYamato Arai, Yuma Ichikawa, Koji HukushimaarXiv:2312.16960 昨年、2022年10月に話題になったNature論文がこれです。Discovering faster matrix multiplication algorithms with reinforcement lea...
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吉山くんのテンソルくりこみ群の論文がPhysical Review Eに掲載

吉山くんのテンソルくりこみ群による 古典フレストレート系の研究 今年の3月に卒業した吉山くんのテンソルネットワークくりこみ群を古典フラストレート系に応用した力作論文がPhysical Review Eに掲載されました。 https://journals.aps.org/pre/abstract/10.1103/PhysRevE.108.054124https://arxiv.org/abs/2303.07733 ArXiv版からはいろいろ修正されているので、出版論文の方をご覧ください。 この論文ではテンソルくりこみ群の方法を用いて、もっとも単純な古典フラストレート系の一つであるJ1J2イジング模型と呼ばれる統計力学モデルの相転移を調べています。この模型の絶対0度の秩序構造は自明にわかっていますので、自明でないところは有限温度でおこる相転移と言えます。これまでに長い研究で、多くのことはわかってきていて、例えば、この模型のJ2が大きい領域では二次相転移がおきて、その際の臨界指数が相互作用パラメータに陽に依存する独特な普遍性クラスに属することが示唆されたりしてい...
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新年度になりました…

3月には物理学会があって、研究会とかシンポジウムで講演とかあって、そして、三名の院生が博士を取得して卒業しました。ちょっとロス感があって、メンバー表の更新をそのうちします。論文も出たので、それも書いた方がいいんだろうけど。時間ができればちゃんと書きますよ。
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統計物理学の研究室は…

新年の挨拶もないままに1月が終わろうとしている。大学にいると一番忙しいのは1月な気がする。今年もいろいろ行事があって1月が終わろうとしている。 今日はこの記事を書こうと思ったのは、博士論文審査会の打ち上げがあったことがきっかけではある。 常々、何やってるかよくわからない研究室だなーと思いながら、一方で、理想とすべき研究室運営を追い求めているなれの果てがこれなんだなぁと思い、もうすぐくる研究室紹介の季節には説明に窮してしまう現状がここのところ続いている。自分も主催ができるのは残り10年となっているにもかかわらず、型が決まらないこの有様はどうなんだと疑問に思うこともある。 一方で、研究室の定例会は面白くて、機械学習の話があると思えば、続いてクロマチンのモデリングの話がきて、言語モデルの話もあって、NP問題の議論になる。引いてみればどれもこれも多体問題であり、統計物理学の範疇である。こういう研究室は昔はたくさんあったように思う。自分が大学院生のころのすずます研はそうだったように思うし、誤解を恐れずに言えばきくち研やはたの研やいとうのぶ研とか自分から見れば偉大な先輩方の構え...
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市川くんの論文がJournal of Physical Society of Japan誌に掲載!

Deep Boltzmann Machineの統計力学的研究 市川佑馬くんのDeep Boltzmann Machineの論文が掲載されました。Statistical-mechanical Study of Deep Boltzmann Machine Given Weight Parameters after Training by Singular Value DecompositionJ. Phys. Soc. Jpn. 91, 114001 (2022) https://doi.org/10.7566/JPSJ.91.114001 機械学習の理論的研究は昔から調べられていて、さまざまなアプローチがある。統計力学という物理学のアプローチも昔からある。例えば、H. Sompolinsky, N. Tishby, and H. S. Seung, Physical Review Letters  65, 1683 (1993)などである。もっと前からあるかもしれないし、E.Gardnerを挙げるべきかもしれない。いずれにしても、この方向性は、特定...
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2022年9月日本物理学会物性分科会はじまるよ

物理学会が明日から始まります。研究室のラインナップはこんな感じです。シンポジウム以外は対面なので、たのしみです。 みんな、楽しげな研究内容です。ひとつひとつ解説しておきたい気分ではあるが、その時間はない。 私は3次元イジングスピングラス模型に関する情報を初出しします。 2022.9.10 (0日目)シンポジウムでの発表終了。世話人の糸井先生@日大にはお世話になりました。話す機会を与えてもらって感謝します。25分発表時間で21:00話すのはちょっと長すぎた。右は最初の4ページ目。セッションには田畑さんや香取さんがいらっしゃったので、ちょっと緊張した。磁場中相転移は実験ではできるけど、それ以外は何をみればよいかを理論側から提示しないといけないですね。PCAなんかじゃだめです。帯磁率やスピングラス帯磁率が何かしらの実験的にモード分解できるといいな。。。平均場描像は完全ではない形で三次元に下りてきている予想はおつたえできたかと思います。講演では深く掘り下げることはできなかったのですが、磁場中相転移に関しては理論側から展開があって、必ずしもクリアに磁場中相転...
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研究室の強みってなんですか?

研究室訪問に来た学生さんが帰り際に上記の質問をしてきた。 「そんなものはなんにもないなー」 ちょっと考えて、そう答えた。学生さんからすれば、研究室を選ぶ段階では貴重な情報だし、素直な質問だと思う。ただ、意表をつかれた質問だったし、本当に何もない気がしたから、素直に回答したわけである。 実験の研究室なら、世界でここにしかできない実験はあるかもしれないし、理論の研究室でも、世界でこんな解析できるのはここしかないというのもあるかもしれない。それに相当するものは福島研にはない。研究室が一丸となって、なにかの問題を解決することはない。私がビッグイシューを提示して、それにみんなでアタックするということもない。私の研究テーマの一部分が学生のテーマになることもまずない。ただ、全員が「統計物理学」の研究を行っていて、互いに緩やかにつながっている。だから、福島研は「〇〇がめちゃくちゃ強い」ということはありえない。研究室の主宰としては失格なのかもしれないね。 □□をやるならA先生は強いねとか、△△の分野はB先生がいいねとか、いろいろとコメントはできる。でも、それって、研究室ではなく...
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