More is …

東京大学教養学部は今年の5月に創立70周年を迎えました.それを記念した書籍「東京大学駒場スタイル」(東京大学出版会)に拙文を掲載していただきました. “More is ...”――たくさんあることの物理...福島孝治研究紹介のコーナーですが,あまりちゃんとした研究紹介にはなっていないです."More is "に続く言葉は有名ですが,もう一つマニアにだけ知られているオマージュ的な言葉もあり,そこにも触れています.今年,東京大学を退官された今田先生の最終講義にも出てきました.それまで知ってはいたのですが,改めて出典論文を読んでみて感銘を受けたので触れてみたわけです. (2019.9.14追記)上だけではあまりにも情報がない気がしたので少し追記. More is different. これはP.W.Andersonの有名な言葉であちこちに解説などもあります.行く過ぎた要素還元主義に警笛を鳴らすとともに,物性物理の面白さの一つとして,構成要素がアボガドロ数ほどもたくさん集まったときに初めて創発される秩序の凄さを端的に言っています.水分子をつぶさに眺めてエネルギー...
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高橋惇くんの論文が公開!

NP困難問題の量子アニーリング系の相転移 高橋惇くん(現中国科学院)との共同研究の論文がJournal of Statistical Mechanics: Theory and Experimentに掲載されました: Phase transitions in quantum annealing of an NP-hard problem detected by fidelity susceptibility Jun Takahashi and Koji HukushimaJ. Stat. Mech. (2019) 043102DOI: https://doi.org/10.1088/1742-5468/ab0819 量子アニーリングの研究など一生しないと思っていたのです.門脇さんの博士時代の研究はリアルタイムで見ていて,触手が伸びなかった.説明できないもやもやした感じがあったが,基本的に触手が伸びないということは面白くないと思っていたということです.それが,一変したのは高橋くんがいろいろ考えてたからで,この研究は面白い. ...
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先進科学研究機構へ

福島の所属が若干変更になります.駒場には教育に関する責任母体としての集団があります.部会と呼ばれていて,これまで着任以来「物理部会」に所属していました.2019年4月から物理部会から先進科学部会に移籍になりました.それは昨年度に設立された先進科学研究機構に属する教員の集団です.物理学が一番好きなことには変わりはありませんが,物理学の枠組みにとらわれずに科学全体に目を向けていきたいと常々思っていたので,これを新たな展開の起点にしたいと考えています.Komaba Institute for Science
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日本物理学会第74回大会に参加

九州大学であった物理学会で発表 吉山くん:テンソルくりこみ群の格子ガラス模型への応用安倍くん:レプリカ交換モンテカルロ法による生成物時間分析データの解析長野くん:パーセプトロン学習におけるノイズあり教師の誤り訂正中西さん:交差検証誤差の度数分布解析 それから,共同研究している産総研の佐藤さんの発表「Bayes最適化を用いた結晶構造探索の効率と記述子のパラメータ」がありました.
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西川くんの論文公開

二次元スキルミオン固体の融解相転移 西川宜彦くんとKrauthさんとの共同研究の論文がPhysical Review Bに掲載されました: Solid-liquid transition of skyrmions in a two-dimensional chiral magnet Yoshihiko Nishikawa, Koji Hukushima, and Werner KrauthPhys. Rev. B 99, 064435 スキルミオンは相互作用と磁場との競合により生じるトポロジカルな励起である.実験的にも観測されていて,特に二次元薄膜系では温度ー磁場相図の広い領域で安定に存在することが知られている.そのスキルミオンは寿命が長く,粒子のようにみなせる.そのスキルミオンは絶対零度では三角格子の結晶を構成する.温度を十分高くするとスキルミオンは崩壊するが,それまでの中間の温度ではスキルミオンは結晶ではなく個別にフラフラと動き回り,液体のようにみえる.ということは,結晶状態から温度を上げると,固体ー液体の融解転移が起きると思われる. ...
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