
マルコフ連鎖モンテカルロ法入門
― 例からはじめるMCMCの基礎とアルゴリズム
マルコフ連鎖モンテカルロ法入門
― 例からはじめるMCMCの基礎とアルゴリズム
福島 孝治・西川 宜彦 著、赤穂昭太郎・須山敦志 監修、東京図書
発売日: 2025年12月7日
ISBN-10 : 4489024525
ISBN-13 : 978-4489024528
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Amazon
(2025.11.14)
西川さん(名古屋大学)と一緒に書いた本が12月7日に出版されます。
いろいろ思うところはありますが、それは出版されたら、改めてここに書くことにします。
そもそも上のAmazonのページは出版社が登録したものですが、カテゴリーが「ビジネス・経済」なのですよ。どういうことでしょうかね。
(2025.12.7)
出版されました。
マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を最初に学ぶときってどうするんだろう。私の学生のころは整備された教科書はほとんどなく、K.Binderのレビューのような本を読み、先輩からプログラムもらって見よう見まねで動かしていました。かっこよく言えばOJTなのかもしれません。現代的には、AIに相談すれば、「とりあえず動くプログラム」はすぐに手に入るでしょう。
問題はそこからです。なぜそれで正しい計算になるのか、改良の余地はどこにあるのか…そう考えたときに、いまならやはりAIに聞くのだろうなぁとは思いますが、それでも体系的な書籍があることには意味があるだろうとは思うのです。これが、この本を書く背景の一つにありました。
そう思ったときに、適当な和書が案外少ない、少なくとも、気持ちよく読める本はあまりないように感じます。伊庭さんの緑の本はよくて、示唆に富んでいますし、私自身も伊庭さんから多くのことを学び、共同研究もしています。ただ、今回はもうちょっとプログラミング寄りの視点で書いてみたいという意図がありました。それもあって疑似コードを使って書いています。また、MCMC計算した後の誤差評価のことについてもページを割いていて、そこはこの本の特徴かと思います。
本の目次はこちらからご覧いただけます
さて、西川くんと一緒に書いた本ですが、こんなこと言うと怒られるかも知れませんが、「すごい本」ではありません。ただ、「まあまあの本」にはなったのではないかと思っています。もうちょっと時間をかけて練り上げることができれば、内容もさらに深くできたなぁとも思っています。とはいえ、西川くんと一緒でなければ完成はしていなかったし、自分が誤解していることも多かったのでいろいろと勉強になりました。
執筆で最も苦労した点、おそらく西川くんとも共通認識だろうと思うことは、MCMCを始める動機づけの説明がいるのか問題です。この本を手に取ってくれる人は様々だ(とよいなぁ)と思うのですが、その多くは「すでにMCMCをやりたいと思っている」のではないだろうか?ということです。
「MCMCって何?」という段階の方は、そもそも手に取らないだろうと思うのです。そう考えて、本書では具体例は挙げつつも、その導入は丁寧には書いていません。確率分布からのサンプリングができるという状況が共通点であり、そこがわかれば具体例も読み進められる、と考えたからです。それでも書き出し部分は、「例から始まって」いて、その部分ではこの堅物二人が頑張って工夫を凝らしたところなので、ご笑覧いただけると幸いです。
なお、我々二人は統計物理学の研究者ですが、自分たちの専門で扱っているような問題は例に出さないようにしようと最初から決めていました。MCMCは物理学の問題を解くための方法ではないし、様々な分野の課題に取り組まんとする方に広く読んでもらいたいと考えたからです。
それで、今回の本は東京図書さんから出版されます。東京図書と言えば、物理学者にとっては、あの「ランダウ・リフシッツ」シリーズの出版社です。そして、個人的にはランダウ、ルメール、ジューコフ「相対性理論入門」や渡辺 慧 (著), 村上 陽一郎, 丹治 信春 (翻訳)の「知識と推測」なんですね。どちらも大学生のときに手にして、何度もトライして結局よく理解できなかった本です。それでも本棚に大切に飾ってあります。どうして渡辺の本を手にしたのかは記憶にありませんが、それを目にした場所と買わなきゃって思った感覚だけ記憶にあります。そんな出版社から本を出せたことを光栄に思います。
装丁は鮮やかな赤色になりました。伊庭本と並べるとクリスマス気分を年中味わえます!ノルウェーの森みたいかもしれません。
ぜひ、感想など教えていただけると幸いです。