土手さんのVertex Cover論文がPhysical Review Eに

Effect of constraint relaxation on the minimum vertex cover problem in random graphs Aki Dote and Koji Hukushima,“Effect of constraint relaxation on the minimum vertex cover problem in random graphs”,Phys. Rev. E 109, 044304 – Published 5 April 2024https://doi.org/10.1103/PhysRevE.109.044304 これは、この3月に卒業した土手さんの研究成果です。例によって周辺解説をします。 最適化問題は統計力学から見ると絶対零度極限に相当するので、熱力学極限での最適化問題の性質はFu-Anderson以来多くの統計力学的研究があります(こういうところにも出てくるP.W.Andersonはすごい)。Kirkpatrick-Selmanがランダム化された制約充足問題であるrandom SA...
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板尾くんと荒井くんが一高記念賞を受賞!!

一高記念賞は、「大学院総合文化研究科の大学院生と教養学部の学生を対象とする賞で、学業、課外活動、社会活動等において特に顕著な業績を挙げ、他の学生の範となった者を顕彰するもの」であり、博士課程・修士課程・学部でそれぞれ選出されます。 2023年度の一高記念賞を、板尾健司くんは博士課程で、研究テーマ「人間社会の多様な構造の生成原理:普遍人類学の構築」に対して、荒井大和くんは学部で、テーマ「行列乗算に対するフリップグラフ上の適応的探索アルゴリズムの提案と高速な乗算法の発見」に対して受賞しました。 おめでとう!!
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吉山くんのテンソルくりこみ群の論文がPhysical Review Eに掲載

吉山くんのテンソルくりこみ群による 古典フレストレート系の研究 今年の3月に卒業した吉山くんのテンソルネットワークくりこみ群を古典フラストレート系に応用した力作論文がPhysical Review Eに掲載されました。 https://journals.aps.org/pre/abstract/10.1103/PhysRevE.108.054124https://arxiv.org/abs/2303.07733 ArXiv版からはいろいろ修正されているので、出版論文の方をご覧ください。 この論文ではテンソルくりこみ群の方法を用いて、もっとも単純な古典フラストレート系の一つであるJ1J2イジング模型と呼ばれる統計力学モデルの相転移を調べています。この模型の絶対0度の秩序構造は自明にわかっていますので、自明でないところは有限温度でおこる相転移と言えます。これまでに長い研究で、多くのことはわかってきていて、例えば、この模型のJ2が大きい領域では二次相転移がおきて、その際の臨界指数が相互作用パラメータに陽に依存する独特な普遍性クラスに属することが示唆されたりしてい...
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新年度になりました…

3月には物理学会があって、研究会とかシンポジウムで講演とかあって、そして、三名の院生が博士を取得して卒業しました。ちょっとロス感があって、メンバー表の更新をそのうちします。論文も出たので、それも書いた方がいいんだろうけど。時間ができればちゃんと書きますよ。
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統計物理学の研究室は…

新年の挨拶もないままに1月が終わろうとしている。大学にいると一番忙しいのは1月な気がする。今年もいろいろ行事があって1月が終わろうとしている。 今日はこの記事を書こうと思ったのは、博士論文審査会の打ち上げがあったことがきっかけではある。 常々、何やってるかよくわからない研究室だなーと思いながら、一方で、理想とすべき研究室運営を追い求めているなれの果てがこれなんだなぁと思い、もうすぐくる研究室紹介の季節には説明に窮してしまう現状がここのところ続いている。自分も主催ができるのは残り10年となっているにもかかわらず、型が決まらないこの有様はどうなんだと疑問に思うこともある。 一方で、研究室の定例会は面白くて、機械学習の話があると思えば、続いてクロマチンのモデリングの話がきて、言語モデルの話もあって、NP問題の議論になる。引いてみればどれもこれも多体問題であり、統計物理学の範疇である。こういう研究室は昔はたくさんあったように思う。自分が大学院生のころのすずます研はそうだったように思うし、誤解を恐れずに言えばきくち研やはたの研やいとうのぶ研とか自分から見れば偉大な先輩方の構え...
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