研究内容

福島研の研究内容

福島研究室は統計物理学の研究室です.大自由度の系を統計力学の手法を使って研究しています.「大自由度の系」というのは極めて曖昧な表現ですが,例えば,水はたくさんの水分子からなっています,この水は温度を冷やすとある温度で液体から固体になる「相転移」が起こります.そうした,多数の粒子がおりなす特有な現象をいろいろと考えています.ミクロな構成要素は同じでもマクロな状態方程式が全く異なるという点にしびれています.「大自由度の系」といっても,それはとにかくどっさりたくさんの構成要素からなる系と考えれば,対象はいろいろ考えられ,特定の対象に限定して研究しているわけではありません.面白いと思えることを研究しています.面白い面白くないは完全に主観の問題ですから,私とみなさんはちがうに決まっています.でも,私の守備範囲は結構広い方だとは思っています.

ランダム系の統計力学

一つ特徴を挙げるとすれば,「ランダム」な系や相互作用が競合している系の統計力学的な性質を系を主に研究しています.相互作用の競合は,同時に満たすことができない複数ある相互作用のことを言います.言葉で表すと難しいですが,簡単に言えば「あっちを立てれば,こっちが立たない」状況のことです.社会生活をしていれば必ず遭遇するこの状況は,実は自然界でも沢山起こっています.こうした系には共通して,全員は完全に満足できないものの,みんなが少しずつ我慢する状態が多数存在します.その性質(多数の状態の特徴づけやよりよい状態の探索)を物理的に研究しています.応用数学の最適化問題の解を見つける難しさはこの多数の状態の存在にあるように思います.そのような擬似解の構造に面白さがあるように思っています.

計算物理学の手法開発

それから,計算物理の方法を積極的に使っています.元々は数値計算は好きではなかったのですが,実際にやってみるとなかなか面白いものです.ただ,既存の方法を単純に応用するのはつまらないと思っていて,誰も計算出来ないことができるようになるような方法の開発に興味を持っています.おそらく好き嫌いはさておき,自分が評価されているのはこの計算物理の分野だと思います.

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データ駆動科学

さらに,最近とても関心があるのがデータ駆動科学です.機械学習はいろんな分野で標準的な方法に今後なっていくでしょう.自然科学の研究で使うにはいろいろ注意することがあるし,もっと賢い方法がたくさんあると思っています.機械学習については色々考えることがあるので,別のところで記します.