中西くんのクロマチンモデルの論文がPhysical Review Eに出版

Emergence of Compact Disordered Phase in a Polmer Potts Model Emergence of compact disordered phase in a polymer Potts modelRyo Nakanishi and Koji HukushimaPhys. Rev. E 109, 014405 – Published 29 January 2024https://doi-org.utokyo.idm.oclc.org/10.1103/PhysRevE.109.014405 最近になってクロマチンの凝縮状態を表す統計力学モデルとしてポリマーポッツモデルが提案され研究されています。この論文は、中西くんが行ったポリマーポッツモデルの相転移に関する研究です。私自身は高分子については基本的な教科書、土井先生の昔の方やde Gennesを読んだくらいで深くは知らないし、クロマチンもヒストンもどっち向いてるか全く知らない状態で、おおよそ一年くらいかけて中西くんにレクチャーしてもらってきました。最近の論文もたくさん解説...
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行列積問題の記録更新論文

Faster Matrix Multiplication: Unveiling Insights from Strassen to FBHHRBNRSSSHK, Continuing with KM, and Advancing to AIH 普段はプレプリントの段階ではあまり研究公開の話はしないのですが、今回だけはちょっと特別とします。たぶんプレスリリースとかもしないだろうし、でも滅多にない世界記録更新した研究なので、少し経緯をここで解説します。 現在、卒業研究で受け入れている荒井くんの研究成果をプレプリントとして公開しました。Adaptive Flip Graph Algorithm for Matrix MultiplicationYamato Arai, Yuma Ichikawa, Koji HukushimaarXiv:2312.16960 昨年、2022年10月に話題になったNature論文がこれです。Discovering faster matrix multiplication algorithms with reinforcement lea...
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吉山くんのテンソルくりこみ群の論文がPhysical Review Eに掲載

吉山くんのテンソルくりこみ群による 古典フレストレート系の研究 今年の3月に卒業した吉山くんのテンソルネットワークくりこみ群を古典フラストレート系に応用した力作論文がPhysical Review Eに掲載されました。 https://journals.aps.org/pre/abstract/10.1103/PhysRevE.108.054124https://arxiv.org/abs/2303.07733 ArXiv版からはいろいろ修正されているので、出版論文の方をご覧ください。 この論文ではテンソルくりこみ群の方法を用いて、もっとも単純な古典フラストレート系の一つであるJ1J2イジング模型と呼ばれる統計力学モデルの相転移を調べています。この模型の絶対0度の秩序構造は自明にわかっていますので、自明でないところは有限温度でおこる相転移と言えます。これまでに長い研究で、多くのことはわかってきていて、例えば、この模型のJ2が大きい領域では二次相転移がおきて、その際の臨界指数が相互作用パラメータに陽に依存する独特な普遍性クラスに属することが示唆されたりしてい...
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市川くんの論文がJournal of Physical Society of Japan誌に掲載!

Deep Boltzmann Machineの統計力学的研究 市川佑馬くんのDeep Boltzmann Machineの論文が掲載されました。Statistical-mechanical Study of Deep Boltzmann Machine Given Weight Parameters after Training by Singular Value DecompositionJ. Phys. Soc. Jpn. 91, 114001 (2022) https://doi.org/10.7566/JPSJ.91.114001 機械学習の理論的研究は昔から調べられていて、さまざまなアプローチがある。統計力学という物理学のアプローチも昔からある。例えば、H. Sompolinsky, N. Tishby, and H. S. Seung, Physical Review Letters  65, 1683 (1993)などである。もっと前からあるかもしれないし、E.Gardnerを挙げるべきかもしれない。いずれにしても、この方向性は、特定...
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中石くんの論文がPhysical Review Reseachに

Random Language Modelに相転移がないこと 中石くんのRandom Language Modelに関する論文が掲載されました。Absence of phase transition in random language modelKai Nakaishi and Koji HukushimaPhys. Rev. Research 4, 023156 – Published 27 May 2022 研究内容はこちらにもあります。【研究成果】言語と非言語の境界は存在するか? 〜自然言語の数理モデルに相転移がないことを証明〜 ちょっと上の解説とは異なる視点でこの論文の背景を説明してみたい。一般向けの説明は上にあるのでここは気にしないでやや専門的でマニアックな話しになる。 文責: 福島孝治 個人的には2019年は自分自身の研究とは関係ないところで印象的なできごとがあった。多方面で話題になったかもしれないが、2019年は「神」が生まれて、「言語」が生まれたと感じた年だった。神論文は、これである。``Complex societies...
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プレプリント@ArXiv

市川くんと長野くんの研究がそれぞれプレプリントとして公開しました。 Statistical-mechanical study of deep Boltzmann machine given weight parameters after training by singular value decompositionY Ichikawa, K HukushimaarXiv preprint arXiv:2205.01272深層ボルツマンマシンの統計力学的な研究です。すでに学習は終わっているとしたときに、重みが特異値分解で表されていると仮定しているところが特徴的です。その特異ベクトルをランダム化したときの典型的な性質をランダム系の統計力学を用いて相図を導きました。特異値はパラメータとして扱うので、…つづきは後ほど。 Phase transition in compressed sensing with horseshoe priorY Nagano, K HukushimaarXiv preprint arXiv:2205.08222馬蹄形事前分布を用いた線形回帰の統計力学...
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吉山くんのテンソルくりこみ群の論文が公開

テンソルくりこみ群による格子ガラス模型の相転移研究 Higher-Order Tensor Renormalization Group Approach to Lattice Glass ModelKota Yoshiyama, and Koji HukushimaJ. Phys. Soc. Jpn. 89, 104003 (2020) いろいろこの論文の解説を書きたい...またのちほど.
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西川くんの格子ガラス論文が公開!

格子ガラスの統計力学 フランス・モンペリエ大でPDをしている西川君の論文が公開されました.Yoshihiko Nishikawa and Koji Hukushima“Lattice Glass Model in Three Spatial Dimensions”Phys. Rev. Lett. 125, 065501 – Published 5 August 2020DOI:https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.125.065501 ガラスは汚い固体なのか?それとも,ネバネバした液体なのか? 一見,何を問いにしているのかわからない疑問かもしれない.日常で目にするガラスはカチカチの固体であって,おおよそ液体には見えない.しかし,原子スケールの目をもってガラスの詳細をみると,結晶のようなきれいな固体ではないことがわかる.ふと「カチカチ」の固体はどのように定義されるだろうかと考えてみると,謎が深まる.理系の大学生ならば,液体や気体にはない固体特有の性質は思いつくだろうが,もっとも素朴には「固まっているもの=固体」だろう.し...
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中西さんの解説記事が「固体物理」に掲載

トピックス走査トンネル分光法の圧縮センシング―計測の効率に関する限界と可能性― 「固体物理」に走査トンネル分光法への圧縮センシングの適用と関連した圧縮センシングの成否に関する実験方法の解説記事が「トピックス」として掲載されています.イントロダクションには機械学習の考え方が丁寧に書かれています.キラキラワードはでてこないので,それは期待しないでください.若い研究者や実験研究者に読んでいただけると幸いです.
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高橋惇くんの論文が公開!

NP困難問題の量子アニーリング系の相転移 高橋惇くん(現中国科学院)との共同研究の論文がJournal of Statistical Mechanics: Theory and Experimentに掲載されました: Phase transitions in quantum annealing of an NP-hard problem detected by fidelity susceptibility Jun Takahashi and Koji HukushimaJ. Stat. Mech. (2019) 043102DOI: https://doi.org/10.1088/1742-5468/ab0819 量子アニーリングの研究など一生しないと思っていたのです.門脇さんの博士時代の研究はリアルタイムで見ていて,触手が伸びなかった.説明できないもやもやした感じがあったが,基本的に触手が伸びないということは面白くないと思っていたということです.それが,一変したのは高橋くんがいろいろ考えてたからで,この研究は面白い. ...
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