統計物理学の研究室は…

新年の挨拶もないままに1月が終わろうとしている。大学にいると一番忙しいのは1月な気がする。今年もいろいろ行事があって1月が終わろうとしている。

今日はこの記事を書こうと思ったのは、博士論文審査会の打ち上げがあったことがきっかけではある。

常々、何やってるかよくわからない研究室だなーと思いながら、一方で、理想とすべき研究室運営を追い求めているなれの果てがこれなんだなぁと思い、もうすぐくる研究室紹介の季節には説明に窮してしまう現状がここのところ続いている。自分も主催ができるのは残り10年となっているにもかかわらず、型が決まらないこの有様はどうなんだと疑問に思うこともある。

一方で、研究室の定例会は面白くて、機械学習の話があると思えば、続いてクロマチンのモデリングの話がきて、言語モデルの話もあって、NP問題の議論になる。引いてみればどれもこれも多体問題であり、統計物理学の範疇である。こういう研究室は昔はたくさんあったように思う。自分が大学院生のころのすずます研はそうだったように思うし、誤解を恐れずに言えばきくち研やはたの研やいとうのぶ研とか自分から見れば偉大な先輩方の構える研究室は統計物理学のテーストを持ちながら幅の広い研究室を運営していたと思うが、それも数は多くはない気がする。非平衡物理の研究室はたくさんあるし、めっちゃ面白い統計物理学の最新の研究室はたくさんある。でも、何やってもいいじゃん的な研究室はあんまりない気がするのです。ボスの研究に惹かれて、学生が集まるのはやっぱり正論で王道的なんだけど、ボスがやってる研究はボスがやっているわけで、それを自分でもやってみたいと思えばいいけど、そんなのボスの8がけにしかなんないじゃんと自分なら思う。お前などうなの?と言われたら、ボスがご自身の路線からわざと外してくれて今の自分がいるのだと思う。だから私も自分の興味には一切引き込まない。最近、量子機械学習とかに興味をもって勉強してて、まあ機械学習はそこそこ勉強してわかってるつもりだけど、あんまりよくわからない量子機械学習を研究しようよ、なんて口が避けても学生には言えないよね。なんかバズワードかけ合わせててかっこ悪い気もするし。。。まあ、結果として、研究室がまとまらないのだよ。

それでも、研究室のメンバーはジンギスカンをつつきながら喧喧諤諤やってるわけで、それ自身はどの大学の研究室でも普通のことなのだろうけど、そこでの話題がニッチだわ。僕も混ぜてもらうのですけどね。もう一回、院生にもどるならこういうところに来てみたいとは思う、ボスはショボそうだけど。それも含めて目指しているところなのだと思う。

今日の定例会で謎い数学パズルの話をする学生がいてめっちゃ面白かったし、これが普通に解ければパーセプトロンの計算も簡単にできるって指摘する学生もいて、なるほどねって勉強になる。何が何の役に立つかなんかわかんないわけで、でもそういう情報交換ができる、こういう研究室にしたいんだよね。こんなことが3分の研究室紹介でうまく説明できるほどのスキルを私は持っていないのですよ。〇〇を研究したいのなら□□研究室だよねって言えるけど、そういう〇〇はうちにはない!強いて言うなら統計物理学なんです。これに?興味があればぜひメールください。私は非平衡系のLee-Yang zeroを見てみたいけど、あなたは何を見たいですか?