2022年9月日本物理学会物性分科会はじまるよ

物理学会が明日から始まります。研究室のラインナップはこんな感じです。シンポジウム以外は対面なので、たのしみです。

みんな、楽しげな研究内容です。ひとつひとつ解説しておきたい気分ではあるが、その時間はない。

私は3次元イジングスピングラス模型に関する情報を初出しします。

2022.9.10 (0日目)
シンポジウムでの発表終了。世話人の糸井先生@日大にはお世話になりました。話す機会を与えてもらって感謝します。25分発表時間で21:00話すのはちょっと長すぎた。右は最初の4ページ目。セッションには田畑さんや香取さんがいらっしゃったので、ちょっと緊張した。磁場中相転移は実験ではできるけど、それ以外は何をみればよいかを理論側から提示しないといけないですね。PCAなんかじゃだめです。帯磁率やスピングラス帯磁率が何かしらの実験的にモード分解できるといいな。。。平均場描像は完全ではない形で三次元に下りてきている予想はおつたえできたかと思います。講演では深く掘り下げることはできなかったのですが、磁場中相転移に関しては理論側から展開があって、必ずしもクリアに磁場中相転移なしと結論づけていいのか不明じゃないか説が出ていますが、やや気になっています。

セッションは盛り上がったかというと微妙な感じでした。それぞれの講演者の内容は面白かったですけど、この分野が流行っているという感じはなかったですね。ただ、健全な感じはしましたよ(自分で言うな…とは思う)。オンラインでは議論は盛り上がらないので、来週の対面開催は楽しみです。

2022.9.12 (1日目)
物理学会のプログラムは見にくいな。。。紙の仕様をオンラインにしただけだからじゃないかな。オンラインのときのようにgoogleカレンダーにリンク貼れる機能は残してほしかった。紙だと折ったり曲げたりできて便利なんだよ。紙を残せとは言わないので、オンラインの便利なツールは利用してほしいですね。

午前中は非線形のセッションで、久々の学会の雰囲気を堪能する。柳田さんの話とか久々に聞いたけど面白かった。末谷さんの話しはリザーバーコンピューティングとの絡みも含めてちゃんと理解しておきたいと思った。
午後は情報統計セッションへ。岡島さん@東大の話しがちょっと面白かった。O(1)の予言がなんでそこそこ精度がでるのかよくわかっていない。O(1)とは言えそこそこ大きいから統計力学的にはいいのかどうか。。。白井さん@早稲田の話は、素朴にはありだと思うけど、それでよくなる理由があまりよくわからない。一般に変数を潰すとエネルギーのぐちゃぐちゃはひどくなると思うのだけど、変数の数が減ることによる探索空間の削減の方が効果が大きいのか「思ってること」が違うのか。適当な統計力学模型で解の個数計算してみたらいいと思うんだけど。。。大関さんと奥山さんの話も面白かった。深いところでの理解はできていないけど、ランダム量子回路はちょっと勉強してみるか?という気になった。奥山さんとは講演の後でしばらく話しを聞いたけど、非自明さがどこにあるのかがまだちゃんとはわかっていないな。。。

2022.9.13(二日目)
トップバッターの吉山くんの講演にギリギリのタイミングで座る席が最前列の端っこでスクリーンがほぼ見えないところしかなかった。古典的なモデルの研究だけど、テンソルネットで見るといろんな意味で面白いことが見えるという話。面白いと思うかどうかは主観だけど、面白い。富田さんの話しは堅実ですばらしいです。その次の米谷さんは初めてリアルでお目にかかってうれしかった。オンライン学会のときに講演をなどか聞いていて渋い仕事人のような感じでしたが、今日は名刺交換しちゃいました。それで後半は中西くんの発表がある領域12に移動。そのために藤堂さんの話が聞けなかったのは残念。領域12のセッションでは藤崎さんの話が面白くて自分ではなんにもできないけど、見てるだけでも面白い。そのほかに、ちょっと業界の常識について勉強になることがあった。ハミルトンMCで毎回完全に運動量をリフレッシュするのが得策ではないというのは知られていることなのか?ってことなのですが、NUTSと組み合わせてどうかとかちゃんと議論している研究は知らないので、本当にいいのかどうか。。。イベントチェーンとの関係とかも。
午後はシニアな研究者と議論。これも対面学会のよいところ。

2022.9.14(三日目)
東工大への行き方もすっかり思い出してきた。大井町から急行にのってもよいという基本的なことなんですけど。午前は磁性のセッションへ。この学会で一番面白かったのは田畑さん@京大のスピングラス実験。誰かやっているようで、見たことがなかった丁寧な実験で、ZFCとFC磁化の長時間極限が真にずれていることの実験的な証拠を提示した。長時間極限なんて取れっ来ないと思うのですが、ずれてるのですよね。これがRSBの証拠というのは弱いけど大事な状況証拠と思います。他にも田畑研ではエージングの実験を続けていて、これはちゃんと理解したいところです。大きな目標はRSBの検証なのだけど、いろいろと難しい。シンポジウムのときにはゆっくり説明できなかったけど、よくあるP(q)もかなり微妙だと思っています。レプリカ理論とTAP理論の対応でP(q)は中心的な役割を果たしているけど、MCMCで測れるのは厳密にはどちらでもないのです。そのことをちゃんとわかっている人は少ないと思う。熱力学的極限では一致すると信じているけど、証明はちゃんとできていない。実験的に見るものは何を見ているかはちゃんと考えないと不明です。この意味でノーベル委員会のレポートにも出ているP(q)は何になるのかな。。。
午後は中石くんの発表がある社会系へ。休憩後に情報統計へ。菊池さん@阪大と隣になって、学会を堪能。最終日は会議でオンサイト参加できないので、このセッションが対面最後の参加となる。

2022.9.15(四日目)
最終日は会議のためにオンライン参加。出張の学会がやはりいいです。